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本日、「鉄道ファン」の鉄道ニュースを確認したところ、2つのニュースがありました。
今回はそのうちの1つ、【東武「スペーシア」をリニューアルへ】を特集します。
(もう1つは次回特集しようと思います)


~従来のイメージを残す塗り分け~
まずはある意味「やっとか」でもある東武「スペーシア」のリニューアルです。
実は春先に年間事業計画で東武はスペーシアのリニューアルを宣言していたのです。
公式プレスリリースをご一読の上、本記事を読まれることをお薦め致します。

第一印象を申し上げると、「これはウソ電か?」。
ウソ電というのは、実際の鉄道写真の画像を加工して実在しない車両をつくることなのですが、
その中でも色を変えるのは非常に典型的なウソ電で、本ブログでも幾度か行なっています。

P1060857.jpg
▲旧京阪3000系、現富山地方鉄道10030系。濃緑だった車体下部を赤に変更。@電鉄富山

話をスペーシアに戻すと、なんと塗り分けが現行スペーシアと同じではないか!
この点は、公式の「特急スペーシアの持つ雰囲気を大切にしつつ」ということなのでしょう。
確かに、スペーシア登場時に目を惹いた白主体の軽快な雰囲気は壊せませんよね。

で、ここからが考察したいポイント。即ち、塗装の色です。
現行スペーシアや東武に慣れた身としては、とりわけ紫への拒否反応があるかと思います。
東武の見解によれば、企業色の青に江戸紫・隅田川の水色・日光鬼怒川の橙を配色した、
ということでしょうが、「これらの色を足すとどうなるのか」を考えてみましょう。


~3種類の色合いを考える~

① 青+紫=東武には未知数の領域?

紫というのは、僕の知るかぎり現有の東武車両がまとったことのない色です。
大手私鉄でも採用例は東京メトロ半蔵門線程度なのではないかと思います。
それだけなかなか踏み込めない領域に踏み込むのは相当な勇気が必要だったでしょう。

個人的には、現行スペーシアのイメージが強く拒否反応が出てしまいますが、
青+紫の斬新なイメージで登場した京阪3000系のように、
将来的にはスカイツリーも相俟ってそれ自体は「いい雰囲気だな」と思えるのかも知れません。
今後の評価の変化が楽しみな色の組み合わせだと思います。

P1010516.JPG
▲京阪3000系。紺色と種別表示の紫がよく合いました。拙い写真なのが心残り。@中之島


② 青+水色=最古参の鈍行!

東武の利用者にとって、青と水色の配色はもはやこれを思い出すほかはありません。

P1090838.JPG
▲本線では置換えが進んでいるとはいえ、支線区では未だに主力の東武8000系。@朝霞台

一言で言えば非常にダサい。
配色自体は東西線15000系等に通ずるものがあって悪くはないんでしょうが、
8000系の印象が焼き付いた東武民にとってこの色はダサい印象しかない気がします。
まぁ、鉄道ファンの主観が沿線民と同じかと訊かれれば絶対違うと思いますが。

P1090021.JPG
▲東西線05系。こう見ると軽快な印象なんですけどね…。@西荻窪

他の車両とのバランスを考えないと、悪印象を与えてしまうこともあるということです。


③ 青+橙=TJライナーでもあり、南海でもある。その心は?

青と橙の組み合わせ、東武で考えるのであれば真っ先にTJライナーが浮かぶことでしょう。

P1090812.JPG
▲日中の格下げ運用も担うTJライナー用車両・東武50090系。@下赤塚

そして、他の私鉄を例として挙げるなら間違いなく南海ですね。

P1040080.JPG
▲前面で下部に収束する配色が側面で上部に行く辺りは共通点と言えそうですね。@堺東

じゃあその共通点とは何なのか?と訊かれると簡単で、
東武特急のブランドよりは確実に下に位置するものである」ということです。
南海の青+橙配色は特急サザンにも使われていますが、自由席併設であることを考えれば、
東武特急には及びませんし、自社の「ラピート」「こうや」「りんかん」にも及びません。

こんな色でいいのか?現行色に一番近い形でありながら、首を傾げてしまいます。


~東武が犯した"2つの失敗"~

① 冴えない企業色を使う必要はあったのか?

ここまで3つの配色について見てきましたが、ここで 「優等は暖色系」という原則を提示します。

これは心理学的な要素もあるようで、暖色系は速いイメージを与えるようです。
身の回りの種別方向幕等を見回しても、それはよく分かります。

・赤: 特 急 (京急・京成・京王・京阪・南海・阪急・近鉄等)、 急 行 (西武・東武・東急等)
・青: 各 停 普 通 (東急・小田急・近鉄等)・ 準 急 (京阪・南海等)

この原則に従えば、「青+紫」「青+水」は速いイメージを与えにくいことになります。
しかし、それでは現在 特 急 に充当されている京阪3000系や、京成AE形と矛盾します。

P1090960.JPG
▲京阪3000系にも通ずる、濃紺の非常に落ち着いた色合いが特徴。@お花茶屋

個人的に思うのは、今回発表された3つの配色がいずれも「締まらない」ということ。
インパクトのある濃い色が配されていれば、格好よくもなるしスピード感も出ると思うのです。
その点で、残念ながら東武の企業色の青は些か無難過ぎる色合いなように思います。
もっと濃い紺のような色ならば、引き締まっていたのになぁ…と思うと、
企業色の選択が失敗していたと言わざるを得ません。

もっとも、ここでわざわざ企業色を使う必要は全くなく、
特急のイメージカラーを新たに制定して(真紅等)車体の周りに巻けばいい気もします。


② 非常に安易な50000系列の色

東武の一般車はステンレス車体の導入後、一貫してマルーン色の帯を巻いてきました。
"パッとしない"という声もある中で、これが東武の標準スタイルと化していたのです。

P1090798.JPG
▲東武の一般車で唯一美しいと思う、最後のマルーン色帯車・30000系。@ときわ台

ところが、50000系列になっていきなりその伝統が破られ、車両が橙色に。

P1090819.JPG
▲お見苦しい写真で恐縮ですが、橙一色で塗られた前面が印象的な50000系。@成増

橙色と言えば、既にスペーシアを象徴する色と位置づけられていた筈であって、
よくそう易々と使えたものだな、と思ってしまいます。この"文脈を考えない色"が、
ここに来て東武スペーシアの青+橙にTJライナー臭さを与えている気がするのです。


~"文脈を読んだ"イメチェンを~

今回の東武スペーシア、個人的には「文脈を読まないイメチェンの失敗」と言えると思います。
というより、スペーシアに限らず東京スカイツリーを主軸とした東武のイメチェンに、
ある種の限界を感じてしまっているのは僕だけではない筈。

それは結局、文脈を読まないからなのではないかと思うのです。

ここで比較してみたいのが、中之島線を主軸とした京阪のイメチェン。

P1040299.JPG
▲旧塗装の車両。かなり長い間の伝統でした。@中書島

P1040166.JPG
▲同系車両の新塗装。かなりイメージが変わりましたが、共通要素もあります。@萱島

ほぼ「上下反転」という印象があるかと思いますが、
その中で「一般車=深緑+薄緑」という文脈は確実に受け継いでいるんですよね。

ここでスペーシアに話を戻すと、今回寒色系の色を新しい文脈にとりこむと言えるのですが、
今までのスペーシアの文脈=暖色・オレンジ系を無視した塗装もあり、
逆にスペーシアの文脈に一般車が侵食したり、と半ば滅茶滅茶な印象も否めません。

もしスペーシアへの違和感を払拭したいのであれば、周囲の環境を変えざるを得ません。

具体的には関西空港延伸を契機とした南海電車の塗装変更が挙げられます。
濃紺一色のラピートがうまく南海に溶け込んでいるのは、
周囲の車両が旧塗装の濃緑+薄緑ではなく、新塗装の青+橙になっているからでしょう。

ただ、スペーシアがいつまでも違和感を振りまくことは考えにくく、
実際のところは慣れによって段々他の車両に溶け込んでいくと考えられます。
だからこそ、最初の印象を記録に残す意味でも、この記事を執筆させて頂いた次第です。

ではでは。
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無題
さすがはあなた。実に深く考えてますね。感情にもあまり流されず。


あえていうならば、本題とは関係なくて揚げ足のようですが。「支線区では未だに主力の東武8000系。@朝霞台」というところ、まるで東上線が支線みたいなのが気になったかな、みたいな。東上本線と呼ばれたりしますしですし、本線。せめて宇都宮線か越生線あたりにしてほしかったです。まぁどうでもいいんですよ、ほんと。
☆new1 URL 2011/12/18(Sun)00:00:57 編集
Re:無題
これは大変な失礼を致しました…。

下の解説文は8000系自体について説明しておりますが、
撮影地を示す「@朝霞台」は写真の情報であって、
文章とは無関係です。説明不足すみません。

宇都宮線や越生線に遠出するのは、
財政的にも趣向的にもほぼあり得なさそうです(笑)
【2011/12/18 00:16】
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